
もともと、混沌としている中から法則を見つけ出すこと、数式できっちり証明できることが好きだった。研究者を目指したのは「一見不思議そうに見えるのに、単純な原理で説明することができるから」。現在は国立遺伝学研究所で、最も不思議が詰まった器官ともいえる、脳の神経回路形成について研究を進めている。
今は、研究者として最前線で活躍しているが、実は文系での大学受験をしていた。もともと理科が好きだったのだが、大学進学を希望する学生が少ない高校に入学したため、授業でも数学や物理を本格的に学ぶことができなかった。だからこそ、文系で受験ができて、入学後に理系を選択できる大学を受験したのだ。
脳が様々な情報を高度に処理できるのは、神経細胞から伸びた「情報を送り出す軸索」と「情報を受け取る樹上突起」による複雑な連絡網ができているから。そのためには、軸索が目的の位置を目指して伸びたり、止まったり、時には縮んだりを繰り返す必要がある。しかし、その仕組みはまだ十分に解明されていない。
研究者になりたいと思っていても、実は向いていない人がいるかもしれない。逆に今は勉強が嫌いでも、研究を始めてみたらその面白さにはまる人もいるかもしれない。